丸腰で その1
15年ぶりに雅楽講習会を講師としてでは無く、受講生として参加しました。受講したのは天理教音楽研究会雅楽部(天理教の雅楽部門としては最高峰?)の雅楽講習会で、期間は2015年10月31日18時から20時まで。翌11月1日は9時から15時まで。会場は本部二母屋です。講師は元宮内庁楽部主席楽長、笙奏者の豊英秋(ぶんのひであき)先生、元宮内庁楽部主席楽長、篳篥奏者の大窪永夫先生、そして宮内庁楽部楽師、龍笛奏者の大窪康夫先生です。会場に行ってみると受講生は知らない若い人達ばかりです。それもそのはず、10年以上も遠ざかっていたのですから。でもそれらに混ざってぽろぽろと知った顔がありました。私が天理大学雅楽部を教えていた頃に関わった者達です。その彼らも一番若手が既に30歳を過ぎているんだから時の移り変わりを実感せざるを得ません。天理教音楽研究会雅楽部というのは、天理大学雅楽部のOBが実質主体で、卒業後も研鑽に努めたい者のみが活動するいわゆる社会人雅楽団体です。龍笛の部屋に行くと、懐かしいかな、歳でいえば4つ程下の大瀬君が、「お久しぶりです」と挨拶をしてくれました。もうひとりは2つほど下の増茂君。お互い様だけど彼らも歳をとったな。でもそれ以外は見知らぬ若い人ばかり。篳篥の部屋に行くと、還暦を過ぎた?篳篥レッスンCDの作者、吉本喜作さんが元気にいつもの大声で、「おおっ、ムラジ、何しにきたんや?」と。ええ、今日は笙の受講生で来ました。ええっ?笙の受講生?。吉本さんの目が点になってしまいました。そうなのです。実は私、今回は笙の受講生として参加したのです。しかも今回の課題曲は、舞楽太平楽。はじめて豊先生に教わる曲が大曲組曲の舞楽太平楽なのです。もっとも今回は一具ではなく、調子、道行、急のみの簡易バージョンですが。笙をあぶること1時間、19時頃になってやっと豊先生が来られました。豊先生は笙をあぶる私を見つけるなり面食らった様子で、「連君、何でこの部屋にいるの?」とあたふたして下さいました。私としてはこれでつかみはOK!。思うところあって、冥土の土産に、現時点で笙最高峰奏者の講習会を受けてみることにしたのでした。でもどうやって龍笛奏者の私が笙で受講できたかって?。そんな事は簡単、夜の三十八母屋(天理教の迎賓館)での接待が若手だけでは不安だと漏らしていたので私が一役買うから笙で受講させろと取引きしたのでした。結局初日18時から20時までの予定が、19時管別練習開始、20時より舞を入れての通し稽古となり、終わりは21時をまわってしまいました。その後の接待は実に楽しいもので、お開きは午前様となったのは言うまでもありません。その後増茂君にお願いしておいた信者詰所(宿泊施設)に泊めてもらい就寝です。
翌11月1日、5時半に目覚めた私は、「(昨日の豊先生の笙の講習で3年分はすべき事が見つかったので、今日の講習はもういいかな)」と思い、またふらっと旅に出たのでした。一応事務担当者には温泉めぐりに出るから先生方に宜しくとメールをしておいて。早朝あてもなく天理から車で南下していくと、吉野を経て8時頃には天川村にたどり着きました。話にはきいた事はあるけれど、天川村ははじめてです。昨晩お風呂に入れなかったので、とりあえず温泉をと探してみると、天川村天の川温泉は11時からでした。3時間は待てないよなあ。と独り言のさなか、観光看板をみると目にとまったのが天川弁財天でした。よし、弁天様をお参りしよう。石段を登り、お賽銭をして鈴を鳴らし二礼二拍手をした時のことです。二拍手のパンパーンという音が静寂の中で響き渡る瞬間、うん??、浄化された霊が数体天に上がっていく際の何とも清々しい感覚を覚えたのした。嘘っ!!。苦労して上達して龍笛吹かなくても、必死の思いで唱歌しなくても、たったの二拍手で浄化転送できるんか〜い!??。今年はただただ驚きの連続です。つづく。